シーズンに向けた意気込みをライターの前田成彦様にインタビューをしていただきました!
3人目は、現役ドクターDL #91 福永博之選手です。
【6人制出身でも関係ない。このチームは「今」を見てくれる。】
#91 DL 福永博之(北播磨総合医療センター勤務)
入団3年目の福永は、兵庫県小野市の病院に勤務する医師。兵庫医大の6人制フットボール出身という、少々珍しいキャリアの持ち主だ。
「アメリカンフットボールを始めたきっかけは、浪人中に夜遅く自宅に帰り、テレビをつけたらNFLの試合が放送されていて『アメフトってどんなスポーツなんだろう?』と興味を持ったことでした。僕は高槻中の出身。学校にアメリカンフットボール部があったので存在は何となく知っていましたが、その程度で。そして大学に入ったらアメフト部があって、高槻の同級生がいたんです。そこでじゃあやってみようとなりまして。
ただし部員数が少なくて、チームは6人制の試合に出ていました。6人制の基本メンバーは、ライン3人とQB1人、RB1人とWR1人という構成で、1Q6分で、コンタクトはフルであります。11人制との大きな違いが、ラインもパスコースに出られること。自分はさまざまなポジションをやりましたが、最終的には攻守のラインを兼任し、キッキングも含めて全部出ていました。」
大学卒業後は研修医として、西宮市内の企業病院に勤務。その傍ら、社会人でフットボールをやりたい気持ちがあったので、勤務地から近い場所で活動していたサイドワインダーズを選んだ。
「当初はプライベートリーグも考えましたが、ちょっと違うかなと。もう少ししっかりとやれるチームがいいと思い、サイドワインダーズを選びました。このチームはみんな勝ちたいと真剣に思っているけれど、ガチガチの厳しい雰囲気はない。規律と自主性のバランスが自分にはちょうどいいし、みんながアメフトを好きなこともよくわかった。何より、自分のような経験の少ない人間をしっかりと受け入れてくれる雰囲気がよかったですね。どこの学校出身であろうとどんなルールであろうと、何も気にせず受け入れてくれた。純粋に『今』を見てくれるチーム。ここならやっていけると実感しました。
でも、練習に参加した最初のころはとまどってばかり。ポジションは一番、自信をもってプレーできるDLを選びましたが、他のチームメイトがわかることがわからないような状況もたくさんありました。そこは周囲の人達に質問しながら、徐々に慣れていくしかなかったです。どうにかやれると思えたのは、1年目の春の試合に出させてもらった時。デカい相手に対しなかなか思ったようにプレイできない面もありましたが、通用する部分もたくさんあった。1部や2部の強豪校でプレーしていた選手を相手に恐れることなくプレーできたし、いいプレーをした時にみんながほめてくれた。ホンマ子供みたいですが、この時のうれしさがあったから、続けられた気がします。」
身長175㎝、体重87㎏。決して恵まれた体格ではない。だからこそ、ポリシーは最後まで決して諦めないこと。サイズが小さい分、機動力を生かし、どんなプレーでも諦めずに最後まで追いかける。
「ウチの守備は、LBがタックルするシステムになっています。そういう意味では、DLは縁の下の力持ち。相手のOLをしっかりコントロールして、LBがいいタックルをできるように動いてあげることが大事。コーチによく『お前の売りはパシュートや』とよく言われます。学生時代からリアクションには自信があって、アウトサイドからのパスラッシュが得意です。でも勢いよくラッシュしすぎて、段差を作ってしまうことがある。だから、やっていい時といけない時をしっかり見極めること。攻める時と見る時のメリハリをちゃんとつけることですね。アサインメントに忠実に動かなくてはいけないのですが、役割をちゃんと果たした上でビッグプレイをやってのけたい。」
今年4月、研修医としての2年間を終えて、新たに兵庫県小野市にある北播磨総合医療センターで、泌尿器科の専門医として新たなスタートを切った。
「これから5年をかけて、資格専門医を目指して泌尿器科という自分の専門領域を突き詰めていきます。うれしかったのが、病院の部長にアメフトをやっていることを話したところ『今しかできないことだから、しっかり頑張れ』と言ってもらえたこと。前の病院もそうだったのですが、引き続き応援していただけそうなのでほっとしました。義務をきちんと果たしていれば、アメフトを続けることに問題はありません。とはいえ病院ですから、突然、状況が変わることはある。手術もありますし、すべての練習に参加できるわけではありませんが、できる限り練習も試合も参加したいです。
3年目になりますが、チームを引っ張るような気持ちはまだ生まれていません。怒られるかもしれませんが、自分はまだ下っ端。個人としてやらなあかんことをしっかりやる、という気持ちは変わりません。でもあらためてこの2年を振り返ると、サイドワインダーズでプレーして本当によかったと思います。観客席の付いたスタジアムで行われる有料試合に出場するなど、大学時代から大きくステップアップできた。メディアに取り上げてもらえる機会も時々ありますし、感慨深いです。今は28歳になったところで、稲垣さんぐらいの年までプレーできるかはわかりませんが(笑)、まだまだ頑張ります。」
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